暖房器具の中では低コストなイメージがある石油ファンヒーターですが、灯油代が高騰してからは『電気代はかからないけど灯油代まで考えると、合計の暖房代は割高になる』との話も。
「実際に石油ファンヒーターにかかる暖房代はいくらなの?」
暖房代を節約&疑問を解決するべく具体的に計算してみました。
石油ファンヒーターの暖房費を計算するにあたって
我が家の石油ファンヒーターは10年以上前の古いモデルなので、後継モデルの数値を参考に計算をしました。
石油ファンヒーターの暖房代を計算するため参考にした機種はこちら↓
消費電力(50/60HZ)
- 点火時最大:650/650W
※通常点火時間:約75秒
(室温10℃以上の場合) - 燃焼時:強:23/24W
弱:9.5/10W
燃料消費量
- 最大:0.449L/h
- 最小:0.070L/h
その他、暖房代算出のための条件は下記の通り。
- 電気料金:1kWh=27円(税込)
※新電力料金目安単価 - 暖房使用時間:1日8時間使用とする
※石油ファンヒーターは設定温度と室温の差に合わせて燃焼力が強~弱の間で自動調整されるため、燃焼(強)・燃焼(弱)は半分の各4時間ずつとして計算。 - 暖房使用期間:期間合計120日とする
- 石油ファンヒーターに搭載されている節約機能は使用しない
石油ファンヒーターにかかる暖房代を計算
まず、石油ファンヒーターにかかる電気代から計算していきたいと思います。
石油ファンヒーターにかかる電気代を計算
石油ファンヒーターにかかる電気代は「点火時」と「燃焼時」で異なるため、別々に計算していきます。
点火時の電気代
- 点火時消費電力:0.65kWh
- 点火時間:約0.021h
- 電気料金:1kWh=27円
0.65kWh×0.021h×27円=0.36855円
燃焼時の電気代
1時間あたりの石油ファンヒーターの電気代
- 消費電力(強):0.023kWh
(弱):0.0095kWh - 電気料金:1kWh=27円
燃焼(強)
0.023kWh×27円 =0.621円
燃焼(弱)
0.0095kWh×27円=0.2565円
1日あたりの石油ファンヒーターの電気代
- 燃焼(強)
0.621円/h×4時間 =2.484円 - 燃焼(弱)
0.2565円/h×4時間=1.026円 - 点火1回:0.36855円
燃焼(強)2.484円+燃焼(弱)1.026円+点火0.36855円=3.87855円
1か月(30日)あたりの石油ファンヒーターの電気代
- 燃焼(強)
2.484円/日×30日=74.52円 - 燃焼(弱)
1.026円/日×30日=30.78円 - 点火30回
0.36855円×30回=11.0565円
燃焼(強)74.52円+燃焼(弱)30.78円+点火11.0565円=116.3565円
暖房使用期間120日間の石油ファンヒーターの電気代
- 燃焼(強)
2.484円/日×120日=298.08円 - 燃焼(弱)
1.026円/日×120日=123.12円 - 点火120回
0.36855円×120回=44.226円
燃焼(強)149.04円+燃焼(弱)184.68円+点火44.226円=465.426円

石油ファンヒーターの電気代は、毎月の電気代に影響が出ると言うほどの金額ではなさそうですね
石油ファンヒーターにかかる灯油代を計算
次に石油ファンヒーターにかかる灯油代を計算していきます。
灯油料金は電気代と違い金額が変動してしまうので、1ℓあたりいくらで計算するかで大きく変わってきますが『灯油(店頭販売)販売価格情報』を参考に90円/ℓとしました。
1時間あたりの石油ファンヒーターの灯油代
- 燃料消費量(最大):0.449L/h
(最小):0.070L/h
燃料消費量(最大)
0.449L×90円/ℓ=40.41円
燃料消費量(最小)
0.070L×90円/ℓ=6.3円
1日あたりの石油ファンヒーターの灯油代
- 燃料消費量(最大)
40.41円×4時間=161.64円 - 燃料消費量(最小)
6.3円×4時間=25.2円
161.64円+25.2円=186.84円
1か月(30日)の石油ファンヒーターの灯油代
- 燃料消費量(最大)
161.64円×30日=4849.2円 - 燃料消費量(最小)
25.2円×30日=756円
4849.2円+756円=5605.2円
暖房使用期間120日間の石油ファンヒーターの灯油代
- 燃料消費量(最大)
161.64円×120日=19396.8円 - 燃料消費量(最小)
25.2円×120日 =3024円
19396.8円+3024円=22420.8円

灯油タンク1つ分の金額は90円/ℓ×18ℓで1620円なので見落としがちですが、石油ファンヒーターにかかっている灯油代は思ったよりも高いようですね
石油ファンヒーターにかかる暖房費の合計は?
電気代と灯油代を合わせた暖房費の合計は…
1日あたり
電気代3.87855円+灯油代186.84円=190.71855円
1か月(30日)あたり
電気代116.3565円+灯油代5605.2円=5721.5565円
暖房使用期間(120日)あたり
電気代465.426円+灯油代22420.8円=22886.226円
- 1日
(最大0.449L/h+最小0.070L/h)×各4時間=2.076ℓ - 1か月
2.076ℓ/日×30日=62.28ℓ
一般的な灯油タンクは18ℓなので62.28ℓ÷18ℓ=3.46分の灯油を使用している事になりますね。
また、この石油ファンヒーターのタンク容量は7.2ℓなので、1回の給油で使える日数は
- 7.2ℓ÷2.076ℓ/日=約3.5日
3~4日に1度くらいのペースで給油をする事になります。

電気代だけなら安いけど灯油代を足すと、1日でも約190円分の暖房費がかかっていると考えると高く感じますね
算出条件により計算上では8時間燃焼し続けるという条件でしたが、石油ファンヒーターに搭載されている節約機能などを利用すると室温に合わせて自動消火したりするのでもう少し安く済むと思います。
節約モードでは石油ファンヒーターの暖房代はどのくらい節約になるのか?
メーカーによって節約モードの内容が異なると思いますが、計算で使っていたコロナの石油ファンヒーター(FH-ST4618BY)の場合は、「火力セレクト」「ecoモード」という節約機能が付いています。
火力セレクト(弱火力)を利用した場合
1日8時間弱火力で運転した場合「1回の給油で約13日(約103時間)運転できる」とのことなので、火力調整なしで運転した場合の「1回の給油で約3.5日(約28時間)」に比べて約3.7倍灯油がもつ計算に。
1日あたりの燃料消費量は「弱火力時の燃料消費量0.07ℓ/h×8時間=約0.56ℓ」。18ℓの灯油タンクだと「18ℓ÷約0.56ℓ/日=約32.1」日分の灯油量になるので、ひと月はもつ計算です。
弱火力固定の暖房代を計算
弱火力の場合の灯油代
※燃料消費量0.07ℓ/h・灯油価格90円/ℓで計算
- 1日(8時間)
0.07ℓ/h×8時間×90円=50.4円 - 1か月(30日)
50.4円×30日=1512円 - 暖房期間(120日)
50.4円×120日=6048円
弱火力の場合の電気代
- 1日(8時間)
燃焼(弱)0.2565円/h×8時間+点火1回0.36855円=2.42055円 - 1か月(30日) :72.6165円
- 暖房期間(120日):290.466円
弱火力固定の節約効果
- 1日(8時間)
190.71855円-(50.4円+2.42055円) =137.898円 - 1か月(30日)
5721.5565円-(1512円+72.6165円)=4136.94円 - 暖房期間(120日)
22886.226円-(6048円+290.466円)=16547.76円
弱火力固定の問題点
問題点は「部屋全体が暖まらない」ことです。
通常であれば設定温度になるまで強火力で部屋を暖めますが、この機能は弱火力に固定をしてしまうようなので部屋全体を暖めるのに時間がかかってしまうと思います。
また、設定温度をキープするために通常モードなどでは定期的に火力が強くなることを考えると、弱火力では室温を維持できないと考えられます。
我が家で使っている石油ファンヒーターには火力調整機能は付いていないので、設定温度を調整することで弱火力をキープするようにしていますが、キープするための設定温度は「12~15℃」。
設定温度が15℃ほどなので室温もそのくらいです。これ以上暖めたいなら火力を一旦強くしないと暖まらないことがほとんどなので、弱火力固定でも同じことが起こると思います。

自分が暖かければ良い場合は節約効果が高くおすすめの機能ですが、部屋全体を暖めたい場合はこの後紹介する「ecoモード」を利用する方が良いと思います。
ecoモードを利用して節約した場合の節約効果
次にもう一つの節約機能「ecoモード」の場合の節約効果を検証していきます。
新ecoモードで節約。ワンタッチで省エネ運転
ecoモードONで1シーズン約3,900円(※1)以上お得!※すでに設定温度が20℃以下の場合は、そのままの設定温度で運転します。また、温度を下げることで削減される灯油の消費量は外気温・室温等により変動します。※1 FH-ST3618BYにおいてecoモード設定の有無にて比較。当社住環境試験室(10畳)にて室内初期温度7℃スタートとし、設定温度22℃とした場合の3時間後の灯油使用量の比較。●1シーズンの燃焼時間1,900時間、燃焼回転700回を想定。
(一般社団法人 日本ガス石油機器工業会自主基準より)
● 灯油価格85円/L
(2018年1月9日 全国平均店頭価格 資源エネルギー庁発表)
うちのコロナの石油ファンヒーターの場合もたまに消火していますが、極力弱火力で燃え続けて室温をキープしつつ節約をしている印象です。
石油ファンヒーターの置く場所・外気温などにより消火している時間も変わりますが、消火すると1時間ほどは止まっていると思います。
ecoモードの暖房代を計算
燃料消費量(最大):60%・燃焼時間:各3.5時間ずつ(消火時間を1時間とするため)で計算
ecoモードの場合の灯油代
- 1日(8時間)の合計:106.911円
- 燃料消費量(最大)
40.41円×60%×3.5時間=84.861円 - 燃料消費量(最小)
6.3円×3.5時間=22.05円
- 燃料消費量(最大)
- 1か月(30日):3207.33円
- 暖房期間(120日):12829.32円
ecoモードの場合の電気代
- 1日(8時間)の合計:2.5704円
- 燃焼(強)
0.621円/h×60%×3.5時間 =1.3041円 - 燃焼(弱)
0.2565円/h×3.5時間=0.89775円 - 点火1回:0.36855円
- 燃焼(強)
- 1か月(30日):77.112円
- 暖房期間(120日):308.448円
ecoモードの節約効果
- 1日(8時間)
190.71855円-(106.911円+2.5704円)=81.23715円 - 1か月(30日)
5721.5565円-(3207.33円+77.112円)=2437.1145円 - 暖房期間(120日)
22886.226円-(12829.32円+308.448円)=9748.458円
- 1日
(最大0.449L/h×0.6+最小0.070L/h)×各3.5時間=1.1879ℓ - 1か月
1.1879ℓ/日×30日=35.637ℓ
1か月に必要な灯油量は、18ℓ灯油タンクの場合「35.637ℓ÷18ℓ=1.98回分」。1回の本体タンク給油で使える日数は「7.2ℓ÷1.1879ℓ/日=約6日」
ecoモードにすることで1週間近く給油をしなくても大丈夫な計算に!

1か月で約2400円、暖房期間では約9700円と節約効果が高い印象です。給油回数や灯油を買いに行く回数も減るので助かりますね
もっと石油ファンヒーターの暖房費を節約するために
前述していますが、まずは各石油ファンヒーターに付いている「エコ機能」などの節約機能を利用するのがお手軽です。
部屋全体を暖めるなら置き場所は窓際!?
暖かい空気は上へと移動し、窓際で一気に冷やされて足元に冷たい空気が流れてきます(コールドドラフト現象)。
この空気の循環によって部屋がなかなか暖まらず暖房効率も悪くなるという厄介な現象です。そうなると当然、暖房費もかかってしまいますよね。
そこで、窓際を背にして石油ファンヒーターを置けば、窓際から流れてくる冷たい空気が石油ファンヒーターから出る暖かい空気と一緒に上へと移動していきます。
そうすると、足元に冷たい空気が流れてこないので室内の上下の温度差が少なくなり室内が効率的に暖められるそうですよ。(下図参照)
出典:エコ生活「省エネで暖かく過ごす秘訣」 - 住まいるiタウン
※現在はこのページはありません
我が家は家具の配置とコンセントの位置の関係で窓際には置けないのですが、置く場所がある場合は試してみて下さいね。
1人だけ・一部だけを暖めたいならピンポイント暖房として使う
これは一人でいる時や食事の時などで旦那と二人で一か所にいる場合に、我が家で行っている方法です。
一か所に留まっている場合には自分達が暖かければいいので、ピンポイント暖房として近くに置き温風が自分達に当たるようにしています。
それなら設定温度が低くても暖かいので、燃焼(強)で燃焼している時間を減らせますよ。
このように石油ファンヒーターをちょこちょこ動かして利用するなら、石油ファンヒーター用のキャリーを利用すると持ち上げる必要もなく簡単に動いてくれるので楽ですよ。
我が家の石油ファンヒーター↓
父が実家で使っている石油ファンヒーター用にキャリーを作るついでに、うちの分も作ってくれました。
ホームセンターのしっかりしたスノコにキャスターを付け、石油ファンヒーターとスノコの間に滑り止めを敷いているだけのシンプルなものですが簡単に動かせてとても便利です。
自分で作るのは面倒くさい!という場合でも、ホームセンターやネットなどで1000円前後で石油ファンヒーター専用のキャリーが売っているので購入しても良さそうですね。